リモートワーク、副業、スパイラルワーク…etc.時代と共に働き方は変化しています。場所に囚われない、プライベートを大切にする、など自分あった働き方を選べる現代。しかし働き方の選択肢が増える一方で「どう働くのがいいか分からない」という声も多いのが事実です。
「働く先輩たちを知れば何かヒントを得られるかも」そんな想いから始まったインタビューシリーズ【多様化する新時代の働き方】。
第4回目はバイク旅人・みっちゃんさんにお話を伺いました。日本全国をバイクで巡り、その土地土地で働きながら暮らすみっちゃんさん。普通の旅とは一味違う「みっちゃんさん流のバイク旅」とは。今回はキャリア、バイクでの日本一周、場所を転々とし暮らす生活についてオンラインインタビューをしました。
高校時代から好きなプログラミングを仕事に ITの道へ進みバリバリ働く
――キャリア経緯について教えてください。
医療系の大学を卒業後、一番初めは病院に勤めました。ですがすぐに転職し、IT系の会社に入社。高校生の頃から独学で勉強するほどプログラミングが好きで、医療現場で働きながらも「やっぱり自分はそっちの道に進みたいな」と思っていて、転職を決めましたね。
――会社ではどんなことをしていましたか?
コードを書いたり、ウェブサイトのデザインをしたりしていました。スーツを着てバリバリ働く、まさにキャリアウーマン。すごく忙しくて、納期前は3日間ぐらい会社に缶詰になることもありました(笑)。今はそんなことは法律的に許されないですけど、当時は長時間労働も当たり前。でも好きなプログラミングをしていたので楽しかったんです、本当に。
休職してバイクで日本一周 収入源は飛び込みバイト
―2003年に日本一周を始めたそうですが、きっかけはなんですか?
1年間の休職をしたことです。当時、プライベートでも仕事でも色々と辛いことが重なって、精神的に病んでしまったんですよね。仕事が忙しかったことと失恋したことで、疲れちゃって。一旦、休職をしてバイクで日本一周を始めたんです。
――もともと旅は好きだったんですか?
そうですね。大学の頃から好きで、約1ヶ月のロングツーリングはよくしていました。でも1ヶ月だと物足りなくて。ずっと1年ぐらいかけての長い旅をしたいと思ってたんです。なので休職をきっかけに1年間の日本一周、放浪をすることに決めましたね。この旅が、今の転々と旅をしながら暮らす生き方のきっかけになっています。
写真:青森県の龍泊ライン (写真は2014年のもの)
――当時の収入源は何だったんですか?
飛び込みの仕事です。3日ぐらいの短期バイトをして収入を得ていました。酪農で働いたり、沖縄のキビ畑で働いたり。自分から飛び込みで「雇ってください!」ってお願いすることもあるし、偶然話しかけられて「仕事しない?」って言われることもあるあるし。当時は急に仕事が決まることが結構多かったですね。
退職し新たな旅へ 長期間の農業経験で得たものとは
――1年間の旅を終えた後は会社に戻ったんですか?
はい、復職して暫くITの会社で働いていました。ですが、その後2014年に退職し本格的に旅をスタートしたんです。3月に仕事をやめて、4月にまず沖縄に。南から北へ登っていくかたちで、最終的に北海道へ行ったのですが、その北海道で新しい体験をしたんです。
写真:鳥取県の鳥取砂丘
――新しい体験というのは?
北海道の農家で3ヶ月間、働いたことです。帯広にあるライダーハウスに宿泊していたのですが、そこのオーナーに畑の仕事を紹介されて。他の土地での仕事は、数日間のバイトのみだったので、長期間、知らない土地で働くのは初めての経験でした。
※バイク旅行者を対象とした宿泊施設。
――農家ではどんなお仕事をしていたんですか?
広大な畑で大根、ブロッコリー、ビートを収穫していました。普通は機械で野菜を収穫するんですけど、機械の入れない畑の端っこは人間の手で収穫する必要があるんですよね。その機械が入れない畑の端の部分の野菜を収穫していました。畑の規模が東京ドーム何個分もあったので、端といえど広大な土地。ものすごくハードな仕事でした。仕事終えた頃には、背筋と腹筋が割れましたね。もう、ムッキムキ(笑)。
写真:北海道芽室町にある畑
――長期で働くことで感じたことはなんですか?
ただバイクで走っているだけでは知らなかったことがたくさんあるなと思いました。その土地の人間の性質や地元の人だけが知っている料理を知ることができて、短期の旅とは違う発見がありましたね。
――土地によって人の性質って変わるんですね。
そうなんですよ。方言、食生活はもちろん、時間の感覚も違うんですよね。南の人はのんびりで、北の人はテキパキ。長期間関わることで、ただ1日2日あっただけではわからない地元
の人のことが、より深く分かってくるんです。
栃木のアパートを引き払い “私らしい旅”へ
――3ヶ月の農家で働いたあとは何をしていましたか?
北海道に引き続き残り、乳製品工場でチーズとケーキの製造をしていました。2014年の冬は北海道で越して、2015年の春に栃木へ戻りました。
――栃木に戻ったんですね。
はい。栃木のアパートに戻って全部整理し、アパートを引き払ったんです。長期間働いたり、旅をする中で「よその土地で走って暮らしていこう」って思ったんですよね。いろんな土地に行っていろんな人と触れ合って、短期の旅ではできない、深くその土地や地元の人と関わる旅がしたいと思って。私らしい旅をして自分なりの経験を得たくなったんですよね。
――栃木のアパートを引き払ったあとはどこへ向かったんですか?
九州の長崎県です。ご飯も食べられるし、家もあるからとりあえずリゾートバイトから始めてみようと思って。ホテルで仲居さんの仕事をしました。その後、2016年の夏は知床のホテルで接客のバイトをしました。しかし接客をやっていく中で、楽しいけれど資格が欲しいなって思うようになって。途中から調理師免許の取得を目指すようになりました。知床のホテルで接客のバイトをしたあとは、様々な土地で調理の仕事をしていました。
――調理師免許は試験を受けるために実務経験が必要ですよね。
はい。2年の実務経験を積まないと試験を受けられないので、今も修行中です。実務経験を積むために、今年の初めも大分県の湯布院で調理の仕事をしていたんですけど、コロナで仕事がなくなってしまって。
――コロナショックですね。
そうなんですよ。仕事がなくなってしまったので、北海道の友人に相談したら、牧場ならたくさん仕事があるということで、紹介してくれて。とりあえず、北海道に移って牧場で働くことに決めました。動物が好きなので、ハマっちゃいましたね。
写真:北海道の牧場 牛たちとの一枚
バイク・キャンプ・登山にハマり中 今後は「いろんな山を駆け抜けたい」
――今後の目標を教えてください。
今ハマっているのが、バイク、キャンプ、登山なので、今後はバイクで登山口に行って、いろんな山を駆け抜けたいです(笑)。特に、屋久島縦走をしたいです!あとは居酒屋巡り。料理はその土地の特徴が出てるので、面白い発見がありますよね。何より、地元の人と話すのが楽しいので居酒屋は定期的に巡りたいです。
写真:北海道トムラウシ山 インタビュー直後に登山に向かったそう
編集後記:「好きなことをして生きることは、責任を伴うもの」。この先生活していけるのか、誰かと共に生きるとしたら両立できるのか…e.t.c….将来への不安は年を重ねるごとに大きく、現実的になってきます。それに伴い、新しいことへの一歩が踏み出しづらくなりますよね。好きなことをして生きることは、この先の不安を含め、自分の選択に責任を持つことだと思います。それ故、好きなことで生きている人の内側から滲み出る、覚悟と自信は美しいものだなと感じました。自然体でありながら強い芯を感じさせるみっちゃんさん、素敵です。
ライター:井上紗希
〈みっちゃん〉栃木県・宇都宮生まれ。バイク旅人。IT企業でバリバリ働くも、2003年に休職しバイクで日本一周の旅をする。その後、旅の魅力にハマり2014年に会社を退職し、本格的にバイク旅をはじめる。現在も、様々な土地で働きながら旅をする生活をしている。
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